ギャンブル依存症と言ってもその病態は様々です。軽症であればまだ借金はしません。しかし家のお金を勝手に持っていく、友人や親からお金を借りるなどしてギャンブルを続けようとします。この状態が悪化すれば、カードローンから始めて消費者金融、さらには闇金にまで手を出し、借金を返済するためにまた借金をするようになります。中には自己破産する方、窃盗した盗品を換金する方、会社のお金を横領する方もいます。これで済めばまだ良いかもしれません。重症化したギャンブル依存症の末路として、経済的なひっ迫が続き精神的に追い詰められ、最終的に自殺という手段を選ぶ方もいます。
問題が悪化する前に、対策を立てる必要があります。ギャンブル依存症は意思の問題ではありません。原因の一つは、過去の成功体験です。ギャンブルをすることで得られた快感を脳が覚えてしまったのです。この病気を克服するためには、ギャンブルから離れた生活を習慣化させる必要があります。
当院は入院設備を持たないため、外来通院での治療となります。ギャンブル依存症の治療で一般的なものは集団精神療法ですが、そのときの精神状態によっては薬物療法も行います。
1、集団精神療法
毎週 火曜日 18:50~20:30
毎週 土曜日 10:20~11:50
毎週 土曜日 10:20~11:50
同じようにギャンブルによる問題を抱えている他の患者さまと一緒にこれまでの生活を振り返り、これからの健全な生活の送り方について考えます。他者の話を聞くことで一人じゃないという安心感や自分も回復できるんだという自信を得ることができます。なお、こういった集まりは医療機関に限らず、GAという自助グループでも行われています。各地域にありますので検索してみると良いでしょう。
2、集団認知行動療法
毎週 火曜日 19:00~20:30
毎週 土曜日 13:35~15:05
毎週 土曜日 13:35~15:05
認知行動療法に基づいたテキストを使っています。ギャンブルの引き金を検討し対処行動を考える、今後の目標とそのために自分ができる行動を具体的に考えるといった内容で構成されています。具体的に自分の思考や行動について検討できるため、回復に役立つ効果が期待できます。
3、薬物療法
ギャンブル依存症の方はお金の返済のことで頭の中がいっぱいです。焦りや不安、落ち込みが生じやすく、思考が狭くなると「もう死ぬしかない」と考え、実際に自殺という手段を取ってしまう方もしばしばいます。そのため、診察時には医師が精神状態をチェックし、投薬が必要な状態であれば患者さまの希望を伺った上で抗不安薬や睡眠導入剤など処方することがあります。
治療期間について
治療期間については、上記治療を受けながら概ね2年ほど通院を続けます。しかしそもそも重症(少しでもお金を持つとギャンブルに行ってしまう)の方や通院するうちに状態が悪化してしまった場合などは、入院設備のある病院と連携し入院治療を行ないます。
なお、一人で自由な時間があるとギャンブルをしてしまう、本人のギャンブル問題に家族が対応しきれないなど、単身生活に問題がある方の場合は更生施設やグループホームへの入所も検討します。生活指導員のもと、ギャンブルの引き金を避けた安全な環境で規則正しい生活習慣を築くことができます。
当院のグループホームについて詳しくはこちら
神奈川県からギャンブル依存症の「依存症専門医療機関」 として選定されました
依存症専門医療機関とは、依存症に係る所定の研修を修了した医師等が配置され、依存症に特化した専門プログラムを行うなど、依存症に関する専門的な医療を提供できる医療機関として、当院が神奈川県からギャンブル依存症の専門医療機関・依存症治療拠点機関に選定されました。