依存症は否認の病気とも呼ばれ、本人が問題を自覚していないこともあります。その場合、途方に暮れるのは一番近くにいる家族です。そのため、当院では父親や母親、子供の依存症の問題で困っているご家族を対象としたギャンブル依存症の家族相談を行っております。本人がいないのに家族だけで受診して意味があるのかと疑問に思うかもしれませんが、依存症という病気には十分意味があります。実は家族が良かれと思って行っている行動の中には、本人のギャンブル行動に拍車をかけてしまうものがあるのです。
例えば、こんなことをしていませんか?
- お金を貸してほしいと頼まれると、「かわいそうだから…」「犯罪でもしたら困るから…」とお金を貸す。
- 帰りが遅いと「どこにいるの?」と連絡する
- 督促状を本人よりも先に確認して「またやったの?」と問い詰める
- 「もうしないって約束したのにまたやるなんて、嘘をついたのね」と責める
上記の行動は「イネ―ブリング、世話焼き」「直面化」と言われています。こういった行動を家族が続けているうちは本人がギャンブル問題を認めて治療を受けることは不可能です。むしろギャンブルしていることを隠そうとして嘘をつく、会話を避ける、言い合いになるなど関係性は悪化の一途を辿ります。治療の提案をするどころではありません。しかし、家族が適切な対応を身につけることができれば、本人との信頼関係を築きなおし、問題と向き合うためのサポートをしていくことができます。
ギャンブルについてオープンに話し合える良好な関係性ができて初めて、本人を治療につなげるチャンスも出てきます。ギャンブル依存症者のご家族には以下のプログラムの参加をお勧めしています。
なお、物理的にお金を借りれなくする方法もあります。「貸付自粛制度」と呼ばれる制度であり、これに登録してから5年間は金融会社、銀行、クレジットカード会社からお金を借りることができなくなります。ただし、申し込みはご本人が行う必要があります。
詳しくはこちらのページをご確認ください。
1、家族勉強会
毎週 月曜日 10:20~11:50
全5回で依存症とはどういう病気なのか、その特徴や推奨される家族の関わり方や持つべき考え方など、依存症の基本的な知識を学びます。
2、CRAFT(クラフト)
毎週 木曜日 13:35~15:05
全8回で本人との良好な関係性を築くための考え方や声のかけ方について、実践を通して具体的なコミュニケーションを学びます。
神奈川県からギャンブル依存症の「依存症専門医療機関」 として選定されました
依存症専門医療機関とは、依存症に係る所定の研修を修了した医師等が配置され、依存症に特化した専門プログラムを行うなど、依存症に関する専門的な医療を提供できる医療機関として、当院が神奈川県からギャンブル依存症の専門医療機関・依存症治療拠点機関に選定されました。