パラフィリア症群
性嗜好の偏りは様々な行動として表れます。以下は当院が治療の対象としているパラフィリア症群です。
盗撮(窃視障害)
痴漢(窃触障害)
露出(露出障害)
覗き(窃視障害)
下着窃盗(フェティシズム障害)
小児性愛(小児性愛障害)
パラフィリア症群の定義
性嗜好障害は別名パラフィリア障害とも呼ばれ、DSM-5(アメリカ精神医学会作成の心の病気に関する診断基準)では以下のように定義付けられています。※当院の判断で平易な表現に書き換えています
・性嗜好(パラフィリア)
性の嗜好性に偏りがあること。例えば、性的に未成熟な子供に興奮する、無理矢理性行為に及ぶと興奮する、人に見せない部分を無防備にさらす姿に興奮する、使用済みの下着に興奮するなど。
・性嗜好障害(パラフィリア障害)
上記の嗜好性のために何らかの問題が生じている状態。例えば、性的興奮を得るために子供と性的行為に及ぶ、強姦する、風呂場を覗く、下着を盗むなどの反社会的行為に及べば他者への危害を加えたことになるため障害とみなす。あるいは実際に行為に及んでいなくても、上記の欲求や衝動を抱えている状態に本人が精神的な苦痛を感じる場合にも障害とみなす。しかし苦痛を感じていないし問題も起こしていないパラフィリアもおり、その場合は治療の対象とはならない。例えば、痴漢や盗撮の企画モノのAVをみる、漫画を読む、同意を得てパートナーの下着をもらうといった行為で性的興奮を得ている人など。
さらに、性嗜好障害には窃視障害、窃触障害、小児性愛障害といった様々な下位分類が存在し、それぞれに診断基準が設けられています。
たとえば、
・窃視症
A)少なくとも6カ月間にわたり、同意していない人に触ったり、体をこすりつけたりすることから得られる反復性の強烈な性的興奮が、空想、衝動、または行動に現れる
B)同意していない人に対してこれらの性的衝動を実行に移したことがある、またはその 性的衝動や空想のために臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
一般的にはこういった願望を持っているだけでは治療の対象とはなりません(パラフィリアではあるがパラフィリア障害ではない)。行動としてくり返し行っていることが診断上重要です。
なお、この診断基準を十分に活用するには専門医のように知識と経験が必要であるため、自己判断で用いないよう気をつけてください。自分の病状がどの程度のものなのか気になるという方は以下から診断チェックをどうぞ。