1、アルコール依存症 症状の特徴
① 初期の症状~中期の症状
- お酒を飲みすぎた次の日は気分がうつっぽい、イライラしやすい
- 「あと一杯だけ」と思うのに何杯も追加して飲んでしまう
- 休みの日は昼間から飲酒を始め、結局やろうと思っていたことができない
- お酒が抜けた後のだるさがつらくてまた飲んでしまう
- 飲酒すると気が大きくなって暴言を吐く、人とトラブルになりやすい
- 家族から飲酒について指摘されることが嫌で隠れて飲んでいる
- 飲み過ぎると記憶を失くす(ブラックアウト)。そのためどうやって帰宅したか覚えていなかったり、知らないうちに物を失くしていることがある。
- トイレ以外の場所で誤って用を足すことがある。あるいはトイレまで間に合わず失禁することがある。
- 飲み過ぎた次の日は二日酔いが辛く、仕事に遅刻するあるいは欠勤することがある
- 酒癖の悪さから離婚問題にまで発展したことがある
- お酒代を得るために借金をする
② 末期症状
アルコールは脳の働きを麻痺させます。特に、前頭葉という人間の理性(判断や意思決定)を司る脳の部位が障害を受けます。長期にわたって大量飲酒を続けると脳が委縮し、アルコール性認知症を引き起こします。アルコール性認知症とは飲酒によって生じるさまざまな認知症症状のことを指しますが、特にコルサコフ症候群が有名です。
コルサコフ症候群
ビタミンB1の欠乏により、見当識障害(ここがどこか、目の前にいる人が誰なのかわからなくなる)、記憶障害(新しいことが覚えられない、昔のことが思い出せない)、周囲に無関心になるといった症状が出現する。病識がないことがしばしばある。この状態で病状が進行すれば全般的な認知症に至る。
40代・50代であっても、長期に渡ってアルコールを摂取していればこのような病気を発症するリスクがあります。とはいえ、アルツハイマー型認知症や脳梗塞後の認知症とは異なり、早い段階からお酒をやめ栄養を摂取し生活習慣を整えることができれば、ある程度脳の機能は回復します。合併症が進行する前に治療を始めましょう。
2、アルコール依存症の離脱症状(禁断症状)とは
体内からお酒が抜ける際に体内のアルコール濃度が下がってくると、以下のような自律神経症状や精神障害、身体障害が生じることがあります。
- 手足や全身の震え
- 発汗
- 下痢
- 吐き気
- 不眠
- 不安、焦り、イライラ、憂うつ
- 幻視、幻聴
- 被害妄想
- 記憶障害
- 見当識障害
- 意識消失
飲酒を中止して上記症状が出てくる場合は要注意です。それだけアルコールが身体面、精神面に大きな影響を与えているということになります。多くの方がこの離脱期を乗り越えることに苦労し、症状を緩和させようと再び飲酒を始めてしまいます。
3、合併しやすい身体疾患
消化器系:
脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変、胆 石、膵炎、胃食道逆流症など。
循環器系:
心筋梗塞、高血圧、脳梗塞、不整脈、末梢血管障害など。
生活習慣病:
日本人の死因の2/3がこれによるものといわれています。飲酒だけでなく食事バランスや喫煙など複数の要因によって生じる病気ですが、特にメタボリックシンドロームに関連する高血圧や高血糖においては飲酒による影響が大きいと考えられています。糖尿病や痛風を発症するリスクも高く、こういった病気と一生付き合っていかなければならなくなります。
長期に渡る大量飲酒は身体全体に大きな影響を与えます。一度進行が始めると完治が難しい病気もあるため、初期症状がみられた段階で治療を受けることが重要です。