「依存症に完治はない」とよく言われます。ショッキングな言葉ですが、依存症になればその後もずっと病気と付き合っていかなければならないことは事実です。とはいえ、死ぬまでずっと薬を飲んだり病院に通い続けなければならないわけではありません。依存対象との距離を保てるようになれば、他の人と変わらない普通の生活を送るまでに回復します。
回復とは、今まで頼りにしていた依存対象を手離しても動じずに生きていけることをいいます。
強迫的性行動症であれば、欲求不満が生じたときに衝動的に性的な問題行動を行うのではなく適切な対処法を用いてその場をしのげる、問題行動以外のストレス解消法を身につける、被害者への責任として再犯の無い健康的な生活を送れていることなどが回復像の1つとして考えられます。
回復とは、今まで頼りにしていた依存対象を手離しても動じずに生きていけることをいいます。
強迫的性行動症であれば、欲求不満が生じたときに衝動的に性的な問題行動を行うのではなく適切な対処法を用いてその場をしのげる、問題行動以外のストレス解消法を身につける、被害者への責任として再犯の無い健康的な生活を送れていることなどが回復像の1つとして考えられます。
しかし、最初から最後まで何の困難も経験せずに回復に向かう人はいません。何度か再犯してしまう可能性はあります。
例えば盗撮行為の治療を始めてから6ヵ月経過した頃、むしゃくしゃする出来事があり、満員電車に乗りこんでスカート内を盗撮したとします。依存症治療においてこれはスリップと言います。問題行動を再びやってしまうことであり、必ずしも依存症の再発を意味しません。つまり、スリップしたからといって治療前の状態に戻るわけではなく、むしろこの1回の再犯を再発防止のヒントとして捉えることが重要です。(ただし、盗撮は犯罪行為であり被害者がいます。スリップは治療上不可避なものである一方で、社会的には決して許されるものではないということも理解しておく必要があります)
スリップの引き金になったものは何か、どのような思考が再犯に向かわせたのか、他にどのような対処法があったのかなど、治療の場で正直に話し検討しましょう。この作業を行わないと、依存症の再発に繋がる可能性が高くなります。一度の再犯を隠そうと家族へ嘘をついたり通院を中断してしまうと、後ろめたさや自己嫌悪、投げやりな気持ちからさらに盗撮を続けるかもしれません。スリップの頻度が増すほど盗撮の欲求も強くなっていきます。習慣化し日常の一部となっている盗撮という行動は、本人が思う以上に大きなものです。どんなに治療の意思が強くても、脳や身体が盗撮を求めています。
一人で回復を目指すには荷が重いでしょう。依存症のことを理解している家族など、周囲のサポートを得ながら回復に向かっていくことが望まれます。