1、ストーカーの対応・対策
その理由は、ストーカー加害者が精神的に大きく動揺しているからです。この精神的な動揺を解決することが、ストーカーの根本的な対応といえます。ストーカーの対応が進んでいる諸外国では、司法的な対応も行い、それと同時に加害者に精神的にサポートをするのが一般的です。残念なことに日本ではストーカー規制法が作られた時には、精神的サポートを同時にするという考え方が今程重視されませんでした。またストーカー加害者の少なからずの人は、統合失調症、発達障害、性嗜好障害といった精神疾患を持っておられます。この様な加害者には、説得したり、司法による対応をしても一般的には効果的ではありません。むしろ投薬や、疾患に応じた精神療法が効果的です。
この様な理由でストーカー加害者には精神疾患の合併症がないかを診察し、合併症が考えられる場合にはその治療を優先し、合併症がない場合は精神的サポートを行うことが一般的です。そして、諸外国ではこのようなサポートを行う専門医療機関が数多く存在します。日本も諸外国に約数十年の遅れはあるかもしれませんが、このような流れになりつつあります。
最近、加害者に司法的な対応だけでなく精神的な対応も重要視するという方向に国の方針が変わりました。この様な経過があり、神奈川県警察より当院が加害者の精神医学的治療指定医として指定を受けました。しかし、神奈川県警察と当院は別の組織です。またご相談を受けた内容は、基本的に従来通りの個人情報として対応させていただきます。このために神奈川県警察等の外部には、ご本人の許可なく個人情報はもれることはありません。
この様に当院は神奈川県警察からの要請を受けて治療を行いますが、それ以外に一般の希望者にも相談に対応させていただきます。また神奈川県以外の被害者、加害者の方にも相談や治療を安心した環境で応じさせていただきます。