収監者との文通 Dさんからの手紙

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収監者との文通

Dさんからの手紙

大石クリニックHPトップページ
及び 当掲示板No.555 以降Dさんとの文通参照

前略
 大石先生、鈴木様、スタッフの皆様こんにちは。変わりなく社会復帰に向けて頑張って生活しております。

 刑務所には優遇措置という制度があります。優遇措置とは、改善・更生に向けた意欲をより強くしてもらう事を目的として、受刑態度の評価に応じて良い待遇を与え、第1類から第5類までの5段階に区分されています。第1類に近くなるにつれ優遇措置が増える制度です。私は、昨年6月23日に刑が確定し半年が経ちましたが、その期間における日常生活等の態度、作業への取り組み状況、各種指導への取り組みなどが評価され此の度、第3類に昇級する事が出来ました。第3類になる事が出来た為、今まで制限されていた事が出来るようになりました。手紙の発信が今まで月4通しか出せなかったのですが、5通出せるようになりました。水・木・金曜日にしか手紙を出す事が出来なかったのですが、月曜、火曜日にも手紙を出せるようになり、面会の回数も月2回から月3回出来るようになりました。またサンダルや座布団なども自弁物品として購入する事が出来る様になりました。そして、月に1回、3類の集会があって、体育館で映画を見ながら1回500円の範囲にて嗜好品のお菓子を食べられる様になりました。因みに、なる事は難しいのですが第1類になると、面会の回数が月7回で、面会時間が通常の2倍となり、手紙の発信が月10通で、集会が月3回となります。以前、運動会に参加出来た時の思いを書かせて頂きましたが、第3類になって集会に参加する事ができた時、あの時耐えて我慢したからこの集会に参加する事が出来たんだと思う事が出来ました。待ってくれている父親の事や、自分の置かれている立場を忘れてしまいそうな日もありましたが、耐えて我慢すれば、必ずその先楽しい日を迎えられる事を今回の受刑生活で強く感じました。依存症の病気を克服するのに長い年月を要し、その治療に挑む事になりますが、その期間においても自分の置かれている立場を忘れてしまいそうになった時は、ここでの生活を思い出し、治療にどのくらいかかるか分かりませんが、自分を信じ、治療に専念して行きたいと思います。

 鈴木様、1月12日付のお手紙有難うございます。早速拝読させて頂きました。お手紙の中で、「回復の道に終点はありません。天国に旅立つ日まで常に、一日一日、前へ前へと歩み続けるのが回復の道だと思います。依存症者が治療を止めると『元の木阿弥』で、いつか来た道が待っている。種々の困難を一つ一つ乗り越えたその先にこそ夢が現実となる時と場所が待っています。そこまで行き着く過程での困難・障害物を乗り越える力、それは決して夢を忘れない事と、その闘いの中で培われる忍耐力だと思います」と書かれておりましたが、この文面を拝読させて頂いて、依存症の病気を克服する為に治療を続けて行く中で必ず辛いと思う日が来ると思いますが、でもその治療を止めてしまった時、もっと辛い生活、つまり今の生活を又する事になるんだと思い、そして、治療を続けてこの病気を克服した時、父親の本当の笑顔を見る事が出来て、夢が叶う時が来るんだと思う事が出来ました。
 出所まで約1ヶ月となり、正直不安な思いはありますが、今までの自分とは違うんだと思う、その強い気持ちを忘れず、夢が現実となる時と場所が待っている事を信じ、頑張って行きたいと思います。

 鈴木様にお伺いしたい事があるのですが、頂いたお手紙に、「大石ネット掲示板『あおいくまの部屋』にて公開させて頂いているDさんの手紙も依存症その他で苦しんでいる沢山の人々への『希望の灯火』となっていることでしょう。その意味でDさんは今大きな社会貢献をしている。即ち、国民の税金で生活させてもらいながら、立派にその代価を支払っていると思うのです。今のDさんの更生への一歩一歩の歩みと、それを綴る手紙は税金での生活への恩返しになっていると思うのです」と書かれておりましたが、私は本当に社会に貢献しているのでしょうか。もし、こんな私が今本当に社会に貢献出来ていたら、これほど嬉しい事はありません。2回目の懲役生活が終わり、出所し僅か2ヶ月で同じ過ちを犯してしまった時、正直、自分は懲役生活と娑婆生活の繰り返しを続け、刑務所生活と縁が切れない生活になってしまうと思いました。でも今は、もっと人の為に生きたいと思っています。この様な思いを持つ事が出来たのは、父親や母親、鈴木様、弁護士の先生方のお蔭です。本当に有難うございました。

 最後になりますが、1月18日に父親がまた面会に来てくれました。その面会の中で父親は、会社を休んででも、自分を犠牲にしてでも、大石クリニックに一緒に行くからと言ってくれました。こんなにまで自分の事に対してしてくれた人を何で裏切ってしまったのかと思い涙が止まりませんでした。この父親の思い、そして母親の思いを今度こそ絶対に忘れず、必ずこの依存症の病気を克服して、社会復帰を目指して頑張って行きたいと思います。
 鈴木様、私も鈴木様とお会い出来る日を楽しみにしています。鈴木様、有難うございました。また手紙を書かせて頂きます。

 お身体を御自愛下さい。では失礼します。
                      草々

             平成24年1月23日
                       D
 ↓Dさんへの返書

Date: 2012/02/02/14:52:57 No.716

Re:収監者との文通

Dさんへの返書

D 様
前略
 1月23日付のお便り有難うございます。
 更生と社会復帰に向けての日々の努力に敬意を表します。そして第3類へ昇進したそうで、おめでとうございます。一日一日の刑務作業や日常生活を謙虚に忍耐強く営んで来られた結果が昇進という目に見える形で実現したわけですね。初めて3類の集会に参加された時の喜びはさぞかし大きかったでしょうと、私もお手紙を拝読し大変嬉しく思いました。そして更に、出所というもっともっと大きなゴール・歓びが、もう目前ですね。その日までの、もう僅かな道程の一日一日を今まで通り一歩一歩踏みしめて歩いて下さい。そして、その最後のゴールテープを切った時、お父様と一緒に大石でお会い出来るのを私も今から心待ちにしています。
 
 お手紙の中で、「出所まで約1ヶ月となり、正直不安な思いはありますが、今までの自分とは違うんだと思う、その強い気持ちを忘れず、夢が現実となる時と場所が待っている事を信じ、頑張って行きたいと思います」と書かれていますが、今までの自分との一番大きな違いは何でしょうか? それは、依存症というご自分の病気を自覚され、治療への決意をされている自分だと思います。クリニックの中で、そして同病の仲間との触れ合いの中で、自分の過去・過ちを見つめ、それを克服する努力の日々の中で、どんな誘惑やストレスにも負けない忍耐力を維持し、大きくして行くことができます。Dさんはそういう治療の中に身を置く決意をされています。ここに以前の出所時との決定的な違いがあります。以前も、もう決して同じ過ちを犯さないという堅い決意・誓いを胸に出所されたと思うのですが、それは、心の内面だけでの決意と誓いでした。治療に繋がらない内面だけでの決意だったから依存症という病気に勝てずに、「今度こそ・・」の思いが結果として「今度も又・・」になってしまいました。しかし、今回は「今度こそ・・」を現実のものに出来る治療がDさんを待っています。だから、本当に今度こそ、「今度こそ・・」の思いに希望を持って出所し、そして大石クリニックに来院して頂ければと思います。

 
 お手紙で、自分の手紙のネット公開が本当に社会貢献になっているのでしょうか?とお尋ねですが、今、全国にDさんと同じような悩みを持つ人々が沢山居ります。依存症の本人はもちろん、その家族も大勢居られます。そういう方々は、本当にこの依存症・犯罪地獄からどうしたら脱出できるのか !? と、それこそ、ワラをも掴む思いで情報を求め、探しています。
 その思いは、Dさん、お父様ご自身が自らの思いとして体験された思いだと思います。今回の事件で逮捕された時、Dさんは、「もうこれで、自分の人生は終わりだ! 刑務所と娑婆の往復人生になってしまう」と思ったそうですね。そんなDさんに、弁護士の先生が大石クリニックの存在を知らせた時どんな思いがしましたか? 
世はネット時代です。当時のDさんや、お父様のような方々がインターネットで治療情報を探し求めているのは確かな事実です。それは、初めて大石に来院される初診の患者様の多くが、大石のホームページを見て来ましたと仰っていることからも明らかです。毎日、少なくとも数十名の方々が大石ネット掲示板「あおいくまの部屋」に訪問しておりますが、Dさんは今、それを迎える立場で、依存症から脱出する姿を身をもって示しています。それが8ヶ月前のDさんやお父様の立場・思いで掲示板を訪問した人々を勇気づけ、励ましています。これは、大きな・大きな社会貢献です。

 出所まで今日(2月3日)の時点で、残り3週間ぐらいでしょうか。もう本当に僅かな期間ですね。もしかしたら、この手紙が刑務所宛に送る最後の手紙になるかも知れませんね。そう思うと本当にもう直ぐなんだと実感するのですが、それは同時に、Dさん・お父様ともうすぐ大石でお会いできる事を意味しており、本当に今から楽しみにしています。
 もう僅かな期間とはいえ、風邪のウイルスには遠慮の心というものがありません(笑)ので、体調には重々気をつけて、出所のゴールテープを切って下さい。今日はこの辺で失礼します。
                      草々。

           平成23年2月3日
              大石クリニック相談員                     鈴木達也 
  

Date: 2012/02/02/15:21:38 No.717

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