不眠と酒と依存症 大石CLリカバリー職員:鈴木達也

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私が酒に親近感を抱いた最初の理由の一つは「不眠対策」にありました。生まれつき寝入りの悪い体質だった私が社会人になって明日の出勤に気を使わねばならなくなった時、その眼前に「睡眠薬」としての酒がありました。25歳ぐらいから毎日飲む、いわゆる常習飲酒族の仲間入りをした私にとって酒は年月と共に「社交薬」、「百薬の長」・・・としても絶対不可欠な日常用品となって行ったのですが、ここでは「睡眠薬」について考えてみたいと思います。
 最近インターネットでAcamprosat ( 欧米で使用されている飲酒欲求抑制剤 ) のページを捲っていた私の眼に「Per2・遺伝子」という言葉が飛び込んで来ました。この遺伝子に先天的な障害があると「体内時計」が狂い、一日の生活のリズムに障害が生じるそうです。例えば、夜が更けて寝床に入っても「体内時計」が眠る時間まで中々進まないといった症状が生じるようです。同時に又そういう人はアルコール耐性が強く大量飲酒に走り易いそうです。つまり、「眠れない」のと、「酒に強い」という二つの条件が重なって大量飲酒→アルコール依存症に繋がり易いようです。ラットを使った実験では、胎児の時にPer・2遺伝子を操作されたラットは生後の生育過程で見事にアルコール依存症になったそうです。
 そのネット記事を読んだ私は何だか自分の事を言われているような気がしました。そして、私も「Per・2遺伝子」に障害を持って生まれて来たのかも知れないと思いました。だとすれば「睡眠薬」だと思って飲み始めた酒が実はアルコール依存症になる為の薬だったわけです。そして思いました。「依存症になる最初の原因が遺伝子にあり、過程の原因がアルコールの脳細胞への作用にあるとすれば、アルコール依存症はやはり器質疾患であり、治療が必要であり、自分独りの力だけではどうにもならない他の病気となんら変わらない病気なのだ」と。そして又、「病気だから必要なのは治療であり、病気だから不必要なのは劣等感や自己嫌悪、恥辱感などであり、それは不必要を越えて百害あって一理が無いものなのだ」と思った次第です。 
 
 

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